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ハワイ沖に於ける「えひめ丸」遭難に関する一ガバナーの私見

関東・甲信越
地区ガバナー各位

謹啓 漸く春めいて参りました。
 ガバナー各位におかれましては御清栄に渉らせられることと拝察申し上げます。
 早速でございますが、此の度のハワイ・オアフ島沖に於ける実習船衝突沈没事故につきましては大変沈痛な内容でございまして、心を痛めて居ります。
 この件につき、私は以下枠内のような考えを持つに到りました。
 関東・甲信越地区ガバナー各位の御意見を戴きその結果により行動を起こしたいと思います。

ハワイ・オアフ島沖で、海洋実習船「えひめ」が急浮上してきたアメリカ海軍の原子力潜水艦にぶつけられて沈没し、9人の行方不明者が出た。現在深海600mの地点に沈没していることが無人探査器で確認されている。もう事故から1週間以上経ち生存の見込みは皆無と思われるが、遺族は船の引き揚げを要望して止まない。米海軍は引き揚げ作業を行うことに強い反対はしていないが、積極的にやろうという意志表示もしていない。
 日、米の国民性の相異もあるだろうが、日本人は親族が死亡してその場所が特定されている場合は死体を引き取り、その死を更めて確認し、火葬にして、ねんごろに埋葬しなければ承知が出来ないのである。米国はそこ迄死体の確認埋葬に執着しないと云はれれば国民性の相異と云うより仕方がないが、この度の衝突は在日駐米大使が明言しているように米軍の過失により発生した事故で、被害を受け海中の船の中にいるであろう9人の死体は日本人である。
この点を考えればいかなる手段を盡くしてでも遺族の気持ちを慰めて上げたいと思う心切なるものがある。
 私達ロータリアンとして出来ることは国境を超えた友情に訴へ、国際ロータリーの会長Mr.F.Devlynに、米国の関係筋に日本人の切なる望みを伝えて戴くようお願いすることではないかと考えるものである。
私達の行動の主旨はあく迄も日米親善であり、ひいては世界平和への志向である。
(13.2.23)

この行動の手順
  1. 2840地区ガバナースタッフ一同の諒解を得ること
  2. 近隣(関東甲信越)のガバナーに趣意書を送り、御賛同を得られた方に発起人になって戴くこと。



  3. 発起人会による提案書をガバナー会会長 指田 勢郎ガバナー(2580、東京、沖縄)に送り、御賛同を戴けましたら、全国35地区ガバナーに送り同意を戴くこと。
  4. 御賛同戴けたガバナーの署名を添え、出来上がった提案書を、第1ゾーン・コーディネーター重田 政信PGに送り、Mr.F.Devlynへ伝達をお願いすること。

以上の手順を考えて居りますので、ガバナー各位の忌憚の無い御意見をお聴かせ戴きたくお願い申し上げます。御返事はE-mailで2840地区ガバナー事務所へお願い申し上げます。
平成13年2月26日
2840地区ガバナー 関口 隆

関口ガバナー事務所 E-mail office@rid2840.com

以上の趣意書を関東甲信越の全ガバナーにE−mailで発信しようとした矢先の28日、新聞で米政府の特使ファロン海軍作戦副部長が27日来日し、森総理と会談、ブッシュ大統領の親書を手渡した記事を読みました。
 親書の要旨の中、ブッシュ大統領は「米国政府と米国民を代表し、この事故について謝罪と、深甚なる遺憾の意を再度お伝えします。 〜〜〜中略〜〜〜 私たちは「えひめ丸」を回収してもらいたいという家族の切なる思いに共感します。原因の十分かつ透明性のある調査を行うことを保証します。米国は再発防止のために必要な措置をとります。日本国民の皆さんに、この二つの点について最大限の努力を行うことを約束します。 〜〜〜後略〜〜〜 」と述べて居ります。
 私はこの親書の内容を読んだ現時点で、私達日本人はブッシュ大統領の誠意と友情を信じ、次なる段階の交渉迄、事態の推移を静観するべきであろうと考え、Devlyn RI会長に、提案書を送る行動を中止することに致しました。
(13.2.28)
以上がこの度の「えひめ丸」遭難事故に関して一ガバナーがロータリアンの一人として真剣に考え、とりかかった行動の報告であります。